マカロニ工房 隔離地

不幸の除去

不幸な可愛子ちゃんはもういません。
月に一度、ご主人様はご友人たちを招いて素敵なパーティーを開きます。その時出されるお料理のおいしい事と言ったら言葉になりません。
不幸な可愛子ちゃんは幸せでしたが、一つだけ気がかりな事がありました。一緒にいた双子の妹の事です。

気を悪くされたらどうしようと思いながらも、ご主人様は優しいし、きっと応えてくれる。
可愛子ちゃんは意を決して、妹に会いたいこと、いつも隣にいた妹とまた一緒にいたいと伝えました。
妹を案じる少女の訴えは、ご主人様だけでなく賓客たちの心を打ち、涙を流すヒトまでいました。

ご主人様は優しく微笑むと少女の頭を撫でました。
とても優しい微笑みで、会わせてあげよう―。そう言ってくれました。
拾われて以来、これほどの嬉しさは無かったでしょう。


そんな少女の席にクローシュが置かれました。
促され、釣り鐘型のそれをどけた時、少女の瞳から光が消えました。

そう、その顔が見たかった―。

さぁオードブルは終いにして、メインディッシュと参りましょう。

もう、不幸な可愛子ちゃんはいません。